見切り販売

コンビニ店のオーナー判断で見切り販売を行ってもいいのか。

カートと時計

賞味期限の迫っているお弁当などをコンビニで見切り販売することで、フランチャイズ 加盟店のオーナーとセブンイレブンジャパンとの間で過去に裁判が行われました。 見切り販売とはこのままでは期限が切れてしまうのでそのまえに値引きして販売 しようという、スーパーのタイムセールのようなもので、売れ残ることになる位なら 見切りをつけてセール品にしてしまおう、というわけです。 この裁判ではフランチャイズ加盟店のオーナーら4人が見切り販売をしないよう本部 から強制されたとして、同社に計約1億4千万円の損害賠償を求めました。 見切り販売をしていればそれまで廃棄処分になっていた食料品でも、いくらかは 売上に貢献していたに違いない、という考えから裁判を起こしたのです。 値下げはできないルールになっている、との理由で見切り販売をしないように指導 されていたのですが、取引上の優越的地位を利用して値下げを妨害した、との理由で 約1,140万円の支払いを命じる判決が言い渡されました。 被告側は、無原則の見切り販売は価格への信頼性を損なう、同一商品で一物二価の 不信感、同一チェーン同士の価格差による価格競争の可能性、ブランドイメージ などの理由で見切り販売を行う際のガイドラインをフランチャイズの加盟店に配布して 見切り処分による販売方法を案内していたということですが、どうやら両者が 折り合いをつけられる販売方法ではなかったようです。 本部の言い分である価格への信頼性を損なう、一商品で一物二価の不信感、というのは 確かにその通りで、もし時間帯によって同じ商品が違う金額で販売されていたら、 可能な限り安い時間に買いに行くでしょう。 そして高い金額のときはその値段で買うことが正しいことなのか、その金額は ちょっとおかしいのではないか、と考えるようになってしまいます。 24時間営業のコンビニエンスストアでは常に見切り販売を行うようになるかもしれず、 定価で売っている商品は高い、と思われるようになるでしょう。 賞味期限のある食料品なので新鮮なものほど高いのもわかるのですが、あまり細かい ことを気にしない人であれば、期限が6時間以内のものと2時間以内のものの価値は 同じで、見切り販売で安く売っているのならそちらを買うに決まっています。 そして何度か見切り販売の商品を買っているうちに、定価で販売されているものは 今後買わないようになってしまうでしょう。 賞味期限内であればどれも同じだと考える人にとっては、午前中には定価だけど夕方 にはタイムセールで安く買える服屋のようなもので、当然夕方のタームセールでしか お洋服を買わなくなってしまうのです。 女性には見切り商品を嫌がる人もいるかもしれませんが、夕方のスーパーのことを 考えると案外若い女性もしっかりしていて、我先にと安いオニギリを手に入れようと するかもしれません。 最終的には定価の商品は価格の信頼性を失うことになるのです。 またある店舗で見切り販売が行われると、近隣の同系列のフランチャイズも同じよう 見られてしまい、あの店は高い、と思われるようになってしまいます。 見切り販売をしている店舗の定価の商品だけでなく、周囲の店舗の商品までもが そう見られてしまうのは本部としても避けたいでしょう。 そしてそれがあちこちで起こればブランドイメージの低下にも繋がります。 これらの理由でガイドラインを作って配布していたのですが、お互いの考えがあり 裁判になってしまい、フランチャイズの一部の主張が認められました。 ですが長い目で見ると本部の言い分どおり、見切り販売は行わないほうが販売店 にとってもよいのかもしれません。